2012年11月22日木曜日

電子書籍について思う

iPadを買って、ようやく半年くらい経つかな?

現時点で使用頻度の高いアプリ

仕事用
GoodReader
Office文書、pdfなど保管し、表示出来る。
編集は出来ないが、手書きで上からメモが書き込める。
iBooksよりも汎用性が高く、便利。

プライベート用
i文庫HD
電子書籍の閲覧ソフト。
青空文庫対応。本棚が備わっていて、自分で本の追加が出来る。
pdfでも、ページ送りの時に”ページをめくる”視覚効果あり。

最近は、i文庫HDで青空文庫を活用する事が多い。
この青空文庫というのは、著作権の切れた文学作品を無償で公開しているサイトだ。
これが非常に素晴しく、近代の日本文学の著名な作品がほとんど揃っている。
今まで500円、600円と文庫本を買って読んでいたのが、無料で好きなだけ、読める(勿論合法です)。

青空文庫に和辻哲郎の作品が揃っていたのは嬉しかった。早速3作品程読ませて頂いた。
哲学者なのだが、小難しく構えたところが無い。
思った事、感じた事をすっと文章にしてあるから読みやすい。難解な単語や複雑な言い回しが出て来ない。
しかし、洞察が鋭く、非常にボリュームの大きい学問のバックボーンがあるため、内容に一々感心させられ、はっとする。
読むたびに、自分なんてまだまだだなあ、とか、間違っていた!なんて事を思い知らされる(今でも!)。

宮沢賢治の作品も面白い。
感心したのは、「注文の多い料理屋」の、本人が書く新刊紹介文だ。
お話の舞台を、イーハトーヴという架空の世界だとし、その世界の一つの出来事として、「注文の多い料理屋」を挙げ、紹介している。
紹介文とはいえ、文章がとてもメルヘンチックで面白い。
改めて、詩人としての宮沢賢治を評価出来た。旧仮名遣いがまた、味わいを増す。

ところで、僕の好きな作家・小松左京氏の作品は、未だ青空文庫にはアップされていない。
著作権が存在するので、無償公開が出来ないのだ。
Amazonが運営する電子ブックストア「Kindleストア」には、有償商品として売られている。
ただし、Kindleストアで購入した電子ブックは、Amazonが配布しているKindleアプリでないと読むことが出来ない。
少年ジャンプも電子本のストアを運営していて、やはりここで購入した商品は、ジャンプ専用アプリを起動しないと読むことが出来ない。
学研の「ひみつシリーズ」も、ダイヤモンド社のビジネス書籍も、同じだ。
紀伊国屋が売る電子書籍も、そう。
どの本を、どのネットストアで購入したかを憶えておいて、そのストアで配布しているアプリを起動しないと作品を読むことが出来ない。
購入した書籍が、iPadに最初から備わっているiBooksのライブラリに集約されたり、サードパーティ製のリーダーで読む、ということが出来ない。
便利とは言えない。しかも売り手主導だ。

価格も、せいぜいが1割安程度で、正直なところ旨味を感じない。

さて、電子書籍とリアルな書籍との違いは色々あるが、電子書籍は人に貸せない、というのが地味に大きいと思う。
リアルな書籍は、たとえば漫画本を友達と貸し借りして回し読みしたり、中古屋に売却が出来る。
しかし電子書籍は貸し借りが出来ない。本と購入者の、1対1の関係だ。
読み終わったからと言って、中古屋に売却も出来ない。
これは売る側にとって、大きな意味を持っていると思う。



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